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今回は節税商品の王道とされる「小規模企業共済」です。
※最近話題のスキームを本文の最後に追記しました。
基本的には節税対策として推奨できますが、落し穴も多かったりしますので、長文の補足を記載しています。以下は個人事業主を前提とします。
1.小規模共済は資金流出(キャッシュアウト)する節税なので、無理して積み立てるのは良くありません。節税より経営が重要です。資金繰りの圧迫に注意して下さい。実質的に長期間の資金拘束がされますので注意が必要です。納付年数を稼ぐために開業時で所得が少ない場合などは、無理のないように千円から始めるのもアリです。
2.これから始める場合は長期間の資金拘束になるため、受取時のインフレ対応に弱いかもしれません。利息はつきますが、減額すると一部の運用と納付年数のカウントが、実質(注)ストップするシステムなので注意が必要です。
(注)実際の共済金の額の算定は、請求事由、及び、掛金納付月数ごとに掛金月額500円(1口)あたりの額が、小規模企業共済法施行令別表第一で定められてて、そこから算定していく形になっています。途中で減額をしている場合も、それぞれの掛金月額による掛金納付月数について計算を行い、それらを合計した額となります。実際には運用されるが、減額して放置された部分は最終的な給付金に反映されない仕組みと言った方がシックリくるのかもしれません。ただ、便宜上運用がストップという説明をするケースが多い部分です。今回このシリーズの動画もそのように説明しています。この辺は非常に複雑なので、詳細が知りたい方は機構へお問い合わせください。
3.減額しても、一部の運用・納付年数カウントが実質ストップするイメージですが、その後増額を行えば、通算が行われます。
(1)掛金の増減を繰り返すより、無理のない範囲で積み立てる事を推奨しています。利息が付かなくても良いなら、割り切って税率が高くなりそうな時だけ増額する方法もあります。ただし、受け取りまでの年数が長く、増額後すぐに減額するなら、増額しない方が良い場合もあります。ここまでの話になると、個別シミュレーションになります。
(2)過去に減額した方が任意解約すると、一部元本割れが生じる可能性もありますので、以下を推奨しています。①減額はなるべく行わない。②減額してもなるべく早い時期に元の掛金に戻す。③ただし、増額すると資金繰りに影響を及ぼすなら、割り切って減額後放置する。
4.毎年の所得税・住民税の節税効果を狙うのが主目的になるはずです。任意解約や廃業時などに受け取る共済金は課税対象です。そのため、出口戦略も重要です。任意解約は、損する可能性が高いので最終手段と考えた方が良いでしょう。【廃業】【老齢給付】【死亡(相続対象)】での受取りが基本です。
5.掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で、借入れをすることができます。
(1)積み立ての範囲なので直ぐに借りることが出来るため、緊急時の利用はアリです。ただし、返済が100万円以下の場合は、借入期間が6か月又は12か月、かつ、 期限までに一括返済となり、分割返済できないので注意が必要です。
(2)利息だけ払うジャンプ(同額借換)が容易にできます。しかし、早期に返さないと折角の節税効果が減ります。「ジャンプが容易に出来るし、共済金請求時に相殺すればいいんだ!」と、一括返済の弊害もあり、ズルズル廃業まで同額借換を続ける方もいらっしゃいますが・・・一応、減額借換(一部返済と同様の効果)の制度もあります。
※ちなみに、印紙代や印鑑証明を取得するための費用が別途かかります。
(3)毎年新たに借入を追加する増額借換もできます。増額借換を原資に無理して掛け金の増額を検討されている方は、慎重になるべきです。増額借換をしてても、毎年新たに積み立てられた掛金部分には当然節税効果がありますし、運用もされます。(借入と毎年の積立は別と考えるため)
しかし、過去の借入元金部分の利息も毎年追加で払い続けることになります。そのため、年数が経過するほど、その返済していない部分は当初の節税効果が段々となくなります。(まぁ、さほど影響を与えない可能性もあるので、割り切って良いかもしれませんが・・・)あと数年で廃業や老齢給付を考える場合は、シミュレーションしやすいので戦略としてはアリかもしれませんが・・・
なお、少し前から様々な動画やHPなどで、掛金をMAXに引き上げて増額借換と投資を併用するスキームがチラホラ紹介されています。(調べればすぐに出てきます)
ざっと懸念事項↓をあげてみました・・・
①資金繰りリスク(投資等に回すと、そちらで資金拘束されるリスクがあります。例えばイデコは、解約のハードルが高すぎますし、ニーサも論点が・・・また、小規模企業共済は、イデコや国民年金等と違い、担保不要で緊急に借入を行えるのがメリットですが、そのメリットが潰れます・・・)
②毎年の税率リスク(事業が赤字になった場合など。そもそもある程度税率が安定していて、高い税率の方でないと無理して高い掛金の設定をする意味がない)・受け取りまでの年数・受け取り方法などの要因で長期になるほど、リスクが増加。
③将来の税改正リスク(退職所得の課税方法など)
④小規模企業共済の制度改正リスク(あまりにスキームが広がったら、経営セーフティみたいに何らかの規制が入る可能性も十分あります)
⑥小規模企業共済の予定利率、借入利率の変動やインフレリスク
⑦投資リスク
⑧遅延リスク(借換手続きを忘れ、借換出来る期間を過ぎて任意解約する最悪なケースも・・・)
・・・などなど
ちなみに一般貸付の場合、機構は用途を基本確認しないようです。(機構からしたら元本押さえてるからでしょうね)増額借換と投資を利用したスキームは、その方の状況によってリスクの程度が大幅に変動するし、思わぬ落とし穴があるでしょうから、良いとも悪いとも言えないかなぁ・・・
シミュレーションすると、理論上は相当メリットがあるように見えます。資金に余裕がある方などは上記の懸念事項の多くを吹き飛ばせるので、お金を遊ばせない上手な運用結果になる可能性が高いかもしれません。本来、資金に余裕がない方が無理して行った場合は、タコ足配当に近い部分があるので、リスクが高まり成功する人もいるけど、思わぬ失敗をする人も多そう・・・
その他、小規模企業共済の詳細は中小機構のホームページをご確認ください。
↓↓↓中小機構の該当ページ↓↓↓
https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/
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